近年、生成AIはビジネスにおける調査・分析業務で欠かせない存在となった。特に複雑なテーマを深掘りする「ディープリサーチ」では、人間の負担を大幅に軽減し、情報の正確性や効率性の向上が期待されている。しかし、市場に出回る多くの生成AIは性能やコスト、使いやすさなど様々な違いがある。今回は主要な生成AIであるChatGPT、Gemini、Perplexityを取り上げ、自腹でそれぞれ実際に調査を実施することでそれぞれの性能を実務レベルで徹底比較し、具体的な利用シーンを通して各AIの特徴を明らかにする。
徹底検証!生成AIの「深掘りリサーチ能力」を実務目線で比べてみた
評価基準
ディープリサーチ性能を評価する上で、以下の評価基準を設定した。
- 情報の正確性
- 調査スピード
- 費用対効果
- ユーザビリティ(使いやすさ)
- 情報の網羅性
実務で想定する活用場面
各生成AIについて、次のようなビジネスシーンを想定し評価した。
- マーケティングレポート作成
- 業界や市場に関する詳細な分析
- 戦略的意思決定支援のための情報収集
- 法務・医療分野など専門性が高い領域の調査
ChatGPT vs Gemini vs Perplexity―調査・分析能力を比較して見えた特徴
1. ChatGPT(OpenAI)

正確性(★5)
ChatGPTは情報の正確性において圧倒的に優れており、出力された内容は修正がほぼ不要である。参照URLも現時点で存在するものが多く、情報の透明性も高い。これは実務レベルでの利用において重要なポイントとなる。
調査スピード(★3)
高い正確性を担保するため、生成までに約10〜15分程度と時間がかかる。急ぎの調査には多少不向きだが、正確性を考えると妥当な時間とも言える。
費用(★2)
Plus(月額3,000円)は月10回、Pro(月額30,000円)で月120回という制限があり、コスト面で課題がある。
実務評価:
マーケティングレポートや市場調査、詳細な業界分析などの場面で高い評価を得ている。
2. Gemini(Google)

正確性(★2.5)
Googleが提供するだけあって情報収集能力は非常に高いが、参照URLが架空のものだったり、不正確な情報が含まれることも多い。情報を正確な形にするためには繰り返しの調整が必要。

調査スピード(★3)
調査スピードはChatGPTと同様で10〜15分程度だが、サイトの検索スピードは非常に速い。生成が途中で停止することがある点で安定性に欠ける。

費用(★3)
月額2,900円で利用制限がなく、コストパフォーマンスは比較的高い。
実務評価:
大量の情報処理に適しているが、短期間での調査精度向上には向かない。
3. Perplexity

正確性(★1)
Perplexityは情報生成時のハルシネーションが多発するため、正確性は著しく低い。調査結果をそのまま信用するのは危険。
調査スピード(★4)
生成スピードが非常に速く、即座に情報が必要な場合には非常に便利。
費用(★5)
無料版が月5回、Pro版(月額2,950円)では月500回まで使え、コスト効率は非常に高い。
実務評価:
素早く概要を把握するような簡易的な情報収集や、ディープリサーチを初めて試してみたい初心者には適している。
総合評価とビジネスでの最適活用法
ChatGPTのDeep Research能力の正確性は群を抜いている。情報の品質が非常に高く、修正作業はほぼ不要である。参照URLも実在するものが多く、情報の信頼性が担保されている。特に正確性を求めるマーケティングレポートや戦略立案では、ChatGPTが最適である。
一方、GeminiはGoogleが提供するだけあり、大量のサイトを一気に検索する性能は圧倒的である。ただし、内容生成の精度がまだ低く、参照URLに不備があるなど、実務では課題が残る。「プランの修正」を重ねることで精度を高めることは可能だが、それにはかなりの時間を要するため、短期間での作業には不向きである。今後のLLM(大規模言語モデル)の進化に期待したい。
Perplexityは情報の正確性において他のAIに比べ劣っており、ハルシネーションの頻度が高い。しかし、生成速度は非常に速く、即時的な情報収集には有効である。さらに無料版でも月5回利用できるため、ディープリサーチを初めて試してみたい方や、大まかな情報収集を手軽に行いたい場合にはおすすめできる。
ビジネスでAIを活用する際には、目的に応じた適切な選択を行い、それぞれのAIの特性を最大限に活かすことが重要となるだろう。