子どもの教育費を都市別に分析:4つの視点で見る地域傾向

中学受験

保護者にとって、子どもの教育費は大きな関心事です。地域によって教育にかける費用には差があり、住んでいる都市によって習い事や塾への支出額、幼児教育の費用などに傾向の違いが見られることが考えられます。

本記事では、幼児・小学校補習教育費中学校補習教育費高校補習教育・予備校費幼児教育費用という4つの視点から、都市別の教育費の傾向を分析します。各カテゴリで上位10都市をランキング形式で紹介し、地域ごとの特徴を考察します。

幼児・小学校補習教育の上位10都市

まず、幼児・小学校補習教育にかかる費用(小学生までの子どもを対象とした塾や習い事などへの支出額)の上位10都市です。

  1. 岡山市(岡山県): 19,409円
  2. 佐賀市(佐賀県): 18,864円
  3. さいたま市(埼玉県): 17,512円
  4. 徳島市(徳島県): 17,414円
  5. 奈良市(奈良県): 16,644円
  6. 横浜市(神奈川県): 15,686円
  7. 堺市(大阪府): 15,508円
  8. 那覇市(沖縄県): 15,156円
  9. 鹿児島市(鹿児島県): 14,667円
  10. 京都市(京都府): 14,044円

トップは岡山市(岡山県)で、約1.9万円に上ります。次いで佐賀市(佐賀県)、さいたま市(埼玉県)と続き、九州地方の都市や首都圏の都市が上位に入っているのが目立ちます。一方、東北地方北海道地方の都市はこの幼児・小学校の補習教育費ランキングには入っておらず、これらの地域では幼児・小学生向けの補習教育への支出は比較的控えめであることがうかがえます。ランキング全体を見ると、**近畿地方(関西)**からは奈良市や京都市、四国地方からは徳島市、沖縄県からは那覇市がランクインしており、全国各地から幅広く上位に顔を出しています。都市規模に関係なく、地域によって幼児・小学生期の補習教育に対する支出傾向が異なることが示唆されます。

中学校補習教育の上位10都市

次に、中学校補習教育(中学生向けの学習塾や家庭教師など、主に高校受験準備のための教育費)の上位10都市を見てみましょう。

  1. 名古屋市(愛知県): 35,753円
  2. 堺市(大阪府): 32,483円
  3. さいたま市(埼玉県): 28,070円
  4. 千葉市(千葉県): 26,398円
  5. 岐阜市(岐阜県): 25,450円
  6. 徳島市(徳島県): 22,111円
  7. 相模原市(神奈川県): 21,960円
  8. 水戸市(茨城県): 21,492円
  9. 宇都宮市(栃木県): 21,145円
  10. 岡山市(岡山県): 18,134円

第1位の名古屋市(愛知県)は約3.6万円と突出しており、2位の堺市(大阪府)や3位のさいたま市(埼玉県)を大きく引き離しています。上位10を見ると、関東地方からさいたま市、千葉市、相模原市、水戸市、宇都宮市と5都市がランクインしており、首都圏の中学生の塾・補習需要が高い傾向がうかがえます。一方、名古屋市や岐阜市といった中部地方、堺市(大阪府)といった近畿地方の都市、さらに四国地方の徳島市も上位に入っています。逆に、北海道地方・東北地方および九州地方の都市は中学校補習教育費ではトップ10に入っておらず、地域による教育費の差が見られます。

高校補習教育・予備校の上位10都市

続いて、高校補習教育・予備校(高校生向けの塾や大学受験予備校などへの支出)の上位10都市です。

  1. さいたま市(埼玉県): 25,969円
  2. 松山市(愛媛県): 25,103円
  3. 東京都区部(東京都): 24,214円
  4. 徳島市(徳島県): 22,266円
  5. 神戸市(兵庫県): 22,112円
  6. 横浜市(神奈川県): 19,497円
  7. 堺市(大阪府): 17,845円
  8. 富山市(富山県): 16,611円
  9. 宇都宮市(栃木県): 16,094円
  10. 津市(三重県): 12,392円

このカテゴリでは、1位のさいたま市(埼玉県)が約2.6万円と最も高く、次点の松山市(愛媛県)、東京都区部(東京都)を僅差で抑えています。上位には関東地方の都市(さいたま市・東京都区部・横浜市・宇都宮市)が複数入っており、首都圏では高校生の予備校通いにかかる費用が高めであることがわかります。また、四国地方から松山市(愛媛県)と徳島市(徳島県)の2都市が入っている点も特徴的です。近畿地方では神戸市(兵庫県)と大阪府の堺市がランクインし、中部地方からも富山市(富山県)や三重県の津市が上位に顔を出しています。反対に、北海道地方・東北地方・九州地方の都市は高校補習教育費で上位に入っておらず、地域間で教育費への投資傾向に差が見られる結果となりました。

幼児教育費用の上位10都市

最後に、幼児教育費用(幼稚園や保育園・認定こども園など幼児期の教育にかかる費用)の上位10都市を見てみます。

  1. さいたま市(埼玉県): 21,392円
  2. 仙台市(宮城県): 17,113円
  3. 水戸市(茨城県): 14,995円
  4. 福岡市(福岡県): 12,277円
  5. 松山市(愛媛県): 11,981円
  6. 鹿児島市(鹿児島県): 11,618円
  7. 岐阜市(岐阜県): 11,270円
  8. 徳島市(徳島県): 10,703円
  9. 山口市(山口県): 10,390円
  10. 富山市(富山県): 10,373円

幼児教育費用では、1位のさいたま市(埼玉県)が約2.1万円とトップで、2位には東北地方から仙台市(宮城県)がランクインしています。上位10都市を地域別に見ると、関東地方(さいたま市・水戸市)、東北地方(仙台市)、九州地方(福岡市・鹿児島市)、四国地方(松山市・徳島市)、中部地方(岐阜市・富山市)、中国地方(山口市)と、ほぼ全国の地域から満遍なくランクインしていることがわかります。特定の地域に偏らず、日本各地で幼児教育に一定の費用をかけている家庭が多いと推測されます。都市規模によらず、地方都市(例:仙台市や松山市、山口市など)でも幼児教育にしっかり投資している様子がうかがえます。

まとめ

以上のように、子どもの教育費には都市によって特色ある傾向が見られます。特に埼玉県さいたま市は全てのカテゴリーで上位に入っており、教育費への投資が総じて高い地域と言えるでしょう。また、首都圏を中心に補習教育費が高い一方で、東北地方や北海道地方では補習教育費が控えめにとどまる傾向がうかがえます。ただし、幼児教育費用に関しては全国的に上位都市が散らばっており、どの地域でも幼児期の教育に一定の費用をかけていることが示唆されます。地域ごとの経済状況や教育熱、行政の支援制度などが、これら教育費の違いに影響している可能性があります。保護者の皆さんにとっては、自分の住む地域でどのくらい教育費がかかるかを把握しておくことで、将来的な教育資金計画の参考になるかもしれません。

参照サイト:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040246658

この記事を書いた人
education-writer

早稲田大学卒|教育×AI×デジタルマーケティング
中学受験で挫折を経験しながらも、高校受験で第一志望に合格。その経験を活かし、子どもたちの中学受験において「幸せな受験体験」を目指し試行錯誤を重ねる。
現在は、デジタル技術やAIを活用した教育・マーケティング分野の最新情報を発信。EdTechやSEO、DX戦略に関心があり、受験生の学習効率向上や教育業界のデジタル変革を支援。

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